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2022.08.27

国連も認めたパッシブデザイン

 
こんにちは、設計課の上村です。
 
これを書いている2022年8月27日現在、ニュースでは世界各地の記録的猛暑による干ばつ被害のニュースが後を絶ちません。
実感としても、年々夏が耐え難いものになっているなと思います。
 
世界の目は、どちらかというと温暖化に向けられています。
今日は、住宅と温暖化、そしてパッシブデザインについて面白いものを見付けたので、ちょっとマニアックな話になりますがご紹介させて頂きます。
 
ホントにマニアックな話なので、あまり興味のない方は戻るボタンを押して頂いて、家づくりに関する有益な情報をまとめた弊社営業マンの木下の記事をご覧ください。
 
・・・
ここまで言ったのにまだこの記事を読んでいるあなた!さてはマニアですね!?それとも同業者!?はたまた人類の未来を憂える賢者ですか!?あ、環境大臣の方ですか?お世話になります。そこまで覚悟があるならば、とくとご覧ください!

 

BTH

こちらのハウズの記事で見付けた国連環境計画(UN environment programme)が発行したガイドブックですが、

 
主に都市部の冷却に焦点を当てた記事だと紹介されています。ヒートアイランドってやつ。
読んでみたら英語で。
 
私の語学レベルでは到底読み切ることはできないと思ったのですが・・・
 
今の時代は便利ですね。翻訳サイトにコピペしてほうり込んだらどんな長文でも日本語訳に訳してくれます。で、コツコツ読んでみました。(使用した翻訳サイトはこちら
 
ハンドブックなので、要はあんちょこです。やり方が分からない時にさっと開いて確認するための本。その中で特に住宅に関係して、興味深い部分を抜き出してご紹介します。


 

ヒートアイランド

冒頭でも書いたように、近年の「暑さ」は都市に深刻な影響をもたらしていますよね。
 
記事によれば、”世界の大都市1,692都市の分析に基づく経済学者の国際チームによる最近の研究”により、
”過熱した都市は気候変動に直面することが示唆”され、
”都市部のヒートアイランド現象のために、世界の他の地域の2倍以上の気候変動コストがかかることが示唆”されています。
 
その暑さによって”冷房のためのエネルギー使用量の増加、大気汚染の増加、水質の悪化、労働者の生産性の低下など”で都市経済に様々な影響があることを挙げています。
 
で、「都市を冷やせ!」なんですよ。原題は「暑さに打ち勝て!(Beating the Heat)」ですけど。
 
で、冷やすといったらエアコンとかなんですけど、それってエネルギー(電気)使うじゃないですか。電気を発電する時って二酸化炭素を出すじゃないですか。でまた温暖化しちゃうじゃないですか。なので結局、できるだけエネルギー使わずに冷やしましょうってのがこのハンドブックの主旨であり、MBCハウスを始め多くの企業が掲げる「クールチョイス」であったり、温暖化対策のための活動なんですよね。
 

パッシブクーリング

 
冷やしましょう。まずは家の中。
 
「パッシブデザイン」はMBCハウスはもう10年前から取り組んできたし、とある民間団体認証の「パッシブハウス」なんてのもある。
 
でもこの「パッシブクーリング」(Passive cooling)は恥ずかしながらこの資料で初めて知りました。
 
建築でパッシブっていう時、つまりその言葉の意味(受け身、受動的)通り、エネルギーを使わずに快適な室内環境をつくろうって意味なんですけど、
これの「冷却」に焦点を当てた言葉が
パッシブクーリング
(ちなみに対義語はアクティブ。夏でも日がガンガン家の中に入るけどエアコンでガンガン冷やせばいいよね!的発想)
 
つまりどういうことかって言うと、この図を見てもらえば分かりやすいと思います。
 


 
これはハンドブックの図に私が日本語訳を付けたもの。
 
”特に高温多湿の気候帯では、機械的な冷房が建物のエネルギー消費の大部分を占めることが”あるので、
”適切な素材や表面による、全体的な熱取得”を減らし、
”建物の冷房負荷(および関連する排出物)を減らすこと” ができると書いてます。
 
要は
・暑い国では冷房に使うエネルギーって割と多いから
・建物の工夫で
・建物自体の温度を上げず
・冷房を節約
ってこと!
 
冷房そのものは否定できないですからね。あくまで節約。
 
で、どうしたらいいかっていうと、「パッシブクーリングの主な原則」ってことで
 
・気候に適した建物の向き(インドは暑いので北向きに家を建てる)
・建物外壁の適切な素材とデザイン(断熱材・窓・日除け)
・室内温度を安定させるためのサーマルマス(温まりにくく冷めにくい密度が高く重いモノ)
 
など、建物外壁の適切な材料と設計により、室内に入ってくる熱の増加を最小限に抑えることができるんですね。
 
そして”パッシブデザイン戦略は、その地域の気候条件に基づいて利用され、最適化されるべきである。”とも書いていますね。
つまり、北海道の家づくりを鹿児島でやってもダメってこと。
 
家を設計する段階でパッシブクーリングやエネルギー効率化を取り入れれば、建物の寿命が来るまでの何十年もの間その効果は続くってことは声を大にして言っておきたい!!声は出せないので文字を大きくしました。
 
本質的かつ継続的な温暖化対策になります。
 
 ちなみに
 
これがMBCハウスがパッシブデザインの説明に使用する図。夏用です。
国連の方と同じこと言ってますよ。
 

クールルーフ

「アルベド」ってご存知ですか?
 
太陽光を反射する能力のことです。黒は温まりやすく、白はその逆って、子供のころ教わりましたよね。黒いTシャツってすごくぬくもりますよね(笑)
 
ハンドブックに「クールルーフ(Cool roof)」という言葉が出てきます。建物のパッシブクーリングにおいても有効な手段として挙げられています。
 
分かりやすく言うと「建物が温まらないように工夫された屋根」ってところでしょうか。この工夫の部分が、白い屋根だったり、屋根緑化だったりします。
屋根を黒から白にすることで太陽光を80%反射するようになります。反射するということは、建物を温めるでもなく、大気圏や街を温めるでもなく、宇宙空間へ反射するという意味です。(地球にもアルベド係数があるんですよ)
 
これを街でやるとこのような街並みに・・・
 
白い・・・
 
実はこういった工夫は世界中で昔から見られること。先人の知恵ってやつですね。
 
日本でも真っ白い漆喰で壁を塗っていました。これも暑さ対策でしょうか。
 

街での取り組み

街単位で考えるなら、さらにさまざまな冷却の手段があります。下の図を参照。
 
パッシブデザインされた建物は街の一部。都市の一部。電気自動車や自転車の利用、植栽や遮熱性舗装など、色々な手法が紹介されています。ハンドブックはその他にも、世界各国の地域のさまざまな事例がケーススタディとして紹介されています。これを読まれている自治体担当者、首長、環境大臣、我々には自治体と一体となって温暖化対策に取り組む覚悟とビジョンがあるとかないとかゴニョゴニョ
 
 

南国鹿児島にはパッシブクーリング

是非ご用命を。


 
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